皮膚科で行う薄毛診断の流れとは

皮膚科を受診して薄毛の相談をすると、どのような診察や検査が行われるのでしょうか。原因を特定し、適切な治療方針を立てるために、医師はいくつかのステップで診断を進めていきます。一般的な診断の流れを知っておくと、安心して受診できるでしょう。まず最初に行われるのが「問診」です。医師は、あなたの薄毛に関する悩みや状況を詳しく聞き取ります。具体的には、いつ頃から薄毛が気になり始めたか、どの部位(生え際、頭頂部、全体など)が気になるか、抜け毛の量や質に変化はあるか、かゆみや痛みなどの自覚症状はあるか、といった点を尋ねます。さらに、遺伝的な要因を探るために家族歴(近親者の薄毛の有無)、生活習慣(食事、睡眠、ストレス、喫煙・飲酒歴など)、既往歴(これまでにかかった病気)、現在服用中の薬やサプリメントについても確認します。これらの情報は、診断の重要な手がかりとなりますので、できるだけ正確に伝えるようにしましょう。次に「視診」です。医師は、実際にあなたの頭部を見て、薄毛の範囲やパターン(M字型、O字型など)、髪の毛の太さや密度、そして頭皮の状態(色、赤み、フケ、湿疹、炎症の有無など)を直接観察します。AGAに特徴的なパターンが見られるか、あるいは他の皮膚疾患の兆候がないかなどをチェックします。さらに詳細な情報を得るために、「ダーモスコピー」や「トリコスコピー(毛髪鏡検査)」といった特殊な拡大鏡やカメラを用いることが一般的です。これにより、肉眼では見えないレベルで、毛髪一本一本の太さのばらつき(軟毛化の程度)、毛穴の状態、頭皮の血管などを観察し、AGAの進行度や他の脱毛症との鑑別を行います。場合によっては、「血液検査」が行われることもあります。これは、甲状腺機能異常や貧血(鉄欠乏など)、膠原病といった全身性の病気が薄毛の原因となっていないかを調べるためです。特に女性のびまん性脱毛症などでは、これらの検査が重要になることがあります。医師は、これらの問診、視診、スコープ検査、血液検査などの結果を総合的に判断し、薄毛の原因を診断します。そして、その診断に基づいて、最も適切と考えられる治療法やケアの方法を提案してくれるのです。