毛根が死滅?治療限界のサインとは

AGA治療を考えている方の中には、「自分の毛根はもう死滅してしまっているのではないか」「治療しても無駄なのではないか」と心配される方もいます。毛根、正確には髪を作り出す組織である「毛包」の機能が完全に失われてしまうと、確かに薬剤による治療効果は期待できなくなります。では、どのような状態が「治療限界のサイン」と言えるのでしょうか。毛包は、AGAが進行すると徐々に小さく(ミニチュア化)なり、作り出す髪の毛も細く短くなっていきます。この状態が長期間続くと、最終的には毛包自体が線維化し、髪を作り出す能力を完全に失ってしまうと考えられています。この状態を俗に「毛根が死滅した」と表現することがあります。毛包が完全に機能を失ってしまったかどうかを、外見だけで正確に判断するのは困難です。しかし、いくつかの目安となるサインはあります。まず、「産毛すら生えていない状態」が長期間続いている場合です。AGAが進行しても、初期から中期にかけては、細く短い産毛のような毛(軟毛)は残っていることが多いです。しかし、進行が進み、その産毛すらも見当たらず、地肌がツルツルした状態が何年も続いているような場合は、毛包の機能がかなり低下、あるいは消失している可能性が高いと考えられます。次に、「頭皮の状態」です。毛穴が完全に閉じてしまっているように見えたり、頭皮が硬く光沢を帯びているように見えたりする場合も、毛包が活動を停止している可能性を示唆するサインの一つかもしれません。ただし、これらはあくまで見た目からの推測であり、確定的なものではありません。正確な状態を知るためには、やはり専門医による診察が不可欠です。医師は、マイクロスコープなどを用いて頭皮や毛穴の状態を詳細に観察し、毛包の活動性を評価します。もし、毛包の機能が完全に失われていると判断された場合、残念ながらフィナステリドやミノキシジルといった薬物療法による発毛効果は期待できません。この段階で見た目の改善を望む場合の選択肢としては、「自毛植毛」が考えられます。自毛植毛は、まだ毛包が生きている後頭部などから毛髪を移植するため、毛根が死滅してしまった部位にも髪を生やすことが可能です。たとえ薬物療法の限界が来ていたとしても、諦める必要はありません。まずは専門医に相談し、自分の毛根の状態を正確に把握することが大切です。