フィナステリドを飲み忘れたことに気づき、「昨日の分も合わせて、今日は2錠飲んでおこう」と考えてしまう方がいるかもしれません。しかし、これは絶対にやってはいけない危険な行為です。飲み忘れたからといって、一度に2回分(2錠)を服用することは、効果を高めるどころか、副作用のリスクを高める可能性があるため、厳禁とされています。フィナステリドのAGA治療における標準的な用法・用量は、1日1回1錠(通常1mg)です。この用量は、臨床試験などに基づいて、効果と安全性のバランスが最も良いとされる量として設定されています。用量を増やせば効果が比例して高まるというわけではありません。実際、フィナステリドの臨床試験では、1日5mgを服用した場合と1日1mgを服用した場合とで、発毛効果に大きな差はなかったというデータもあります。つまり、1mgを超えて服用しても、効果の上乗せは期待できず、むしろ不必要な量の薬を体に入れることになるのです。そして、用量を増やすことで懸念されるのが「副作用のリスク増大」です。フィナステリドの副作用としては、性欲減退、勃起機能不全(ED)、射精障害、肝機能障害などが報告されています。これらの副作用の発生頻度は、定められた用量を守っていれば低いとされていますが、用量を増やせば、これらの副作用が現れるリスクが高まる可能性があります。特に肝臓への負担が増加する懸念もあります。飲み忘れに気づいた場合は、前述の通り、気づいた時点で飲むか、次の服用時間に通常通り1錠飲むかのどちらかです。決して、自己判断で2錠まとめて飲むようなことはしないでください。もし誤って2錠飲んでしまった場合は、すぐに体調に異変が現れる可能性は低いかもしれませんが、念のため、その後の体調変化に注意し、もし何か気になる症状が出た場合は、速やかに医師に相談するようにしましょう。薬は、決められた用法・用量を守ってこそ、安全かつ効果的に使用できるものです。正しい知識を持ち、ルールを守って服用することが、AGA治療を成功させるための大前提となります。