AGA(男性型脱毛症)がかなり進行し、広範囲に薄毛が広がってしまった。「もう何をしても無駄だろう」「治療するには手遅れだ」と諦めてしまっている方もいるかもしれません。確かに、進行が進んだ状態から若い頃のような髪を取り戻すのは容易ではありません。しかし、完全に諦めてしまう前に、まだ検討できる対策や考え方があります。まず、薬物療法についてです。進行が進んだAGAに対して、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった薬物療法だけで、劇的な発毛効果を得るのは難しいかもしれません。しかし、「現状維持」や「わずかな改善」、そして「残っている髪を守る」という目的であれば、治療を開始する価値は十分にあります。これ以上薄毛が進行するのを食い止め、側頭部や後頭部に残っている髪の毛の質を維持するだけでも、見た目の印象は変わってきます。特にデュタステリドは、フィナステリドよりも強力にDHTを抑制するため、進行したケースでもわずかながら効果を示す可能性が指摘されています。医師と相談し、現実的な目標を設定した上で、薬物療法を試してみるという選択肢は残されています。次に、見た目の改善をより積極的に求める場合の選択肢として、「自毛植毛」があります。これは、AGAの影響を受けにくい後頭部などの自身の毛髪を、毛包ごと薄くなった部分(生え際や頭頂部など)に移植する外科手術です。毛包の機能が失われてしまった部位にも、新たに髪を生やすことができるため、進行したAGAに対しても効果的な改善が期待できます。ただし、外科手術であるためリスクが伴うこと、採取できる毛髪の量には限りがあること、そして費用が高額になることがデメリットとして挙げられます。健康状態によっては適応とならない場合もありますが、薬物療法では限界がある場合の有力な選択肢です。さらに、「ヘアスタイルやファッションの工夫」で印象を変えることも可能です。残っている髪を活かした似合う髪型(ベリーショートやボウズなど)を見つけたり、ヒゲを生やしてみたり、帽子やメガネなどの小物を活用したりすることで、薄毛を個性として魅力的に見せることもできます。大切なのは清潔感を保つことです。たとえAGAが進行していても、諦めずにできることはあります。まずは専門医に相談し、現状で可能な対策について情報を得て、自分に合った方法で前向きに取り組んでいきましょう。