漢方では、薄毛の悩みを持つ人の体質をいくつかのタイプに分類し、それぞれに適したアプローチを考えます。自分の体質傾向を知ることは、漢方的なセルフケアや専門家への相談に役立ちます。代表的な体質タイプを見てみましょう。「気虚（ききょ）」タイプは、エネルギー不足の状態です。疲れやすい、食欲不振、風邪を引きやすい、声が小さいといった特徴があります。気が不足すると血行も滞りやすく、頭皮に栄養が届きにくくなり、髪が細くなったり抜けたりしやすくなります。「血虚（けっきょ）」タイプは、体を栄養する「血」が不足している状態です。顔色が悪く、めまいや立ちくらみ、動悸、手足の冷え、爪がもろい、皮膚の乾燥などが見られます。髪は「血」の栄養を受けて育つため、血虚では髪がパサついたり、抜け毛が増えたりしやすくなります。特に女性の薄毛に多いとされるタイプです。「腎虚（じんきょ）」タイプは、生命エネルギーの源である「腎」の機能が低下した状態です。加齢に伴い現れやすいですが、若い人にも見られます。足腰のだるさ、頻尿、耳鳴り、物忘れ、そして白髪や薄毛といった老化現象が現れやすくなります。ＡＧＡにも関与すると考えられています。「瘀血（おけつ）」タイプは、血の流れが滞っている状態です。肩こりや頭痛、冷えのぼせ、肌のくすみなどが特徴です。血行不良により頭皮への栄養供給が妨げられ、薄毛の原因となることがあります。これらのタイプは、単独の場合もあれば、「気血両虚（気虚＋血虚）」のように複合している場合もあります。自分の体質を正確に把握するには、漢方の専門家（医師、薬剤師など）の診断が必要です。専門家は、問診や舌、脈の状態などから総合的に体質を判断し、適切なアドバイスや漢方薬の選定を行います。