30代に入った頃から、なんとなく生え際が気になり始めた。最初は気のせいだと思っていたが、写真を撮るたびに「あれ?おでこ広くなった?」と感じるように。インターネットで調べると「M字はげ」「AGA」といった言葉が並び、見れば見るほど自分のことのように思えてきて、不安ばかりが募っていった。でも、病院に行くのはなんだか恥ずかしいし、面倒くさい。「まだ大丈夫だろう」と自分に言い聞かせ、市販の育毛剤を試したり、髪型でごまかしたりする日々が続いた。しかし、ある日、妻から「最近、髪のこと気にしてるでしょ?悩んでるなら、一度ちゃんと診てもらったら?」と言われた。図星だった。そして、このまま悩み続けるよりも、一度専門家の意見を聞いてみよう、とようやく決心がついた。選んだのは、通勤途中にあり、ウェブサイトの雰囲気も良さそうだったAGA専門クリニック。無料カウンセリングがあるというので、まずはそこから試してみることにした。予約の日、クリニックのドアを開けるまでは、本当に緊張した。待合室で問診票を書きながらも、「やっぱり帰ろうかな」なんて弱気になったりもした。でも、カウンセリングルームに通され、担当してくれたカウンセラーの方がとても話しやすく、私の悩みを親身になって聞いてくれたことで、少しずつ肩の力が抜けていった。マイクロスコープで頭皮を見せてもらった時は、やはりショックだった。細くなっている毛や、毛穴の状態を見て、AGAが進行していることを実感した。しかし、カウンセラーの方は、AGAのメカニズムや治療法について、分かりやすく、そして希望を持てるように説明してくれた。その後、医師の診察も受け、治療薬(フィナステリド)について詳しい説明を受けた。副作用のリスクも正直に話してくれた上で、「治療を始めるかどうかは、焦らず決めてくださいね」と言ってくれたのが印象的だった。その日は契約せずに帰宅したが、頭の中はすっきりしていた。自分の状態が客観的に分かったこと、そして具体的な対策があることを知れただけで、あれだけ重かった悩みが、少し軽くなった気がした。数日後、改めてクリニックに連絡し、治療を開始することにした。あの時、勇気を出して相談に行って本当に良かった。もし悩んでいる人がいたら、一歩踏み出すことをためらわないでほしい。