円形脱毛症との違いAGA特有症状

薄毛や抜け毛の症状が現れたとき、それが全て男性型脱毛症(AGA)であるとは限りません。他の脱毛症も存在し、原因や症状、治療法が異なります。中でも、突然円形に髪が抜ける「円形脱毛症」は、AGAと混同されることもありますが、その症状には明確な違いがあります。AGA特有の症状と比較しながら、その違いを見ていきましょう。まず、最も大きな違いは「脱毛のパターンと進行」です。AGAは、主に前頭部(生え際)や頭頂部から、特定のパターン(M字型、O字型など)で、比較的ゆっくりと時間をかけて進行していくのが特徴です。髪が徐々に細く短くなり(軟毛化)、密度が低下していきます。一方、円形脱毛症は、原因とされる自己免疫系の異常などにより、突然、境界がはっきりとした円形または楕円形の脱毛斑が現れます。場所は頭部のどこにでも起こりえ、AGAのように特定の部位に限られません。進行も比較的急激で、症状が急速に拡大することもあります。「脱毛斑の状態」も異なります。AGAの場合、薄毛部分にも細い産毛のような毛が残っていることが多いですが、円形脱毛症の脱毛斑では、多くの場合、毛が完全に抜け落ちて地肌がツルツルに見えます。ただし、脱毛斑の周りの毛が切れやすくなっていたり(切れ毛)、感嘆符(!)のような形の毛が見られたりすることもあります。「頭皮の状態」にも違いが見られることがあります。AGAの場合、通常は頭皮自体に赤みやかゆみといった炎症症状は見られません(脂漏性皮膚炎などを合併している場合を除く)。円形脱毛症の場合も、多くは脱毛斑の皮膚は正常に見えますが、時に軽い赤みやかゆみを伴うこともあります。「自覚症状」としては、AGAは通常、痛みやかゆみといった自覚症状はありません。円形脱毛症の場合も、無症状のことが多いですが、発症前に軽いかゆみや違和感を感じる人もいます。「原因」も根本的に異なります。AGAは遺伝と男性ホルモンが主な原因ですが、円形脱毛症は自己免疫疾患が有力な原因と考えられています。これらの違いを理解することは、正しい診断と適切な治療に繋がるために重要です。もし、円形脱毛症に特徴的な症状(急な円形脱毛斑など)が見られる場合は、AGAとは異なるアプローチが必要となるため、必ず皮膚科を受診するようにしましょう。