男性型脱毛症（ＡＧＡ）の治療を開始すると、誰もが気になるのが「いつから効果が出るのか」ということでしょう。一日でも早く薄毛の悩みから解放されたいと願うのは自然なことです。ＡＧＡ治療薬（フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど）の効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的な目安を知っておくことは、治療への期待値を適切に設定し、焦らず継続するために役立ちます。まず理解しておきたいのは、ＡＧＡ治療は即効性があるものではない、ということです。髪の毛には「ヘアサイクル」という成長と脱毛の周期があり、ＡＧＡ治療薬はこの乱れたサイクルを正常化させるように働きかけます。新しい髪が生え、それが目に見える太さや長さに成長するには、どうしても時間がかかります。一般的に、ＡＧＡ治療薬の効果を実感し始めるまでの目安は、「最低でも３ヶ月、通常は６ヶ月程度の継続」が必要とされています。これは、日本皮膚科学会のＡＧＡ診療ガイドラインなどでも示されている期間です。最初の変化としては、「抜け毛の減少」を感じる方が多いようです。これは、薬の効果によって髪の成長期が延長され、抜けにくくなっているサインと考えられます。その後、徐々に「髪にハリやコシが出てきた」「細い毛が太くなってきた」「産毛が増えてきた」といった、より積極的な改善効果が現れることが期待されます。１年程度治療を続けることで、より多くの人が効果を実感できるとされています。もちろん、これはあくまで一般的な目安です。後述するように、効果の現れ方には大きな個人差があり、もっと早く変化を感じる人もいれば、もう少し時間がかかる人もいます。大切なのは、この目安となる期間を知り、すぐに効果が出なくても焦らないことです。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って根気強く続けることが、効果を得るための鍵となります。