抜け毛が増えた、髪のボリュームが減ってきた、地肌が透けて見える。薄毛の悩みを抱えたとき、まずどこに相談すれば良いのでしょうか。育毛サロンやセルフケア用品など、様々な選択肢がありますが、医学的な観点から最も推奨されるのは「皮膚科」を受診することです。なぜなら、皮膚科は髪と頭皮に関する専門家であり、薄毛の原因を正確に診断し、医学的根拠に基づいた適切な治療法を提案してくれるからです。薄毛の原因は一つではありません。男性に最も多い男性型脱毛症（ＡＧＡ）や、女性に多いびまん性脱毛症、女性男性型脱毛症（ＦＡＧＡ）だけでなく、円形脱毛症、脂漏性皮膚炎に伴う脱毛、あるいは甲状腺疾患や膠原病といった全身性の病気、栄養不足、薬剤の副作用などが原因となっている可能性もあります。自己判断で原因を特定するのは難しく、間違ったケアをしてしまうと、かえって症状を悪化させたり、治療のタイミングを逃したりするリスクがあります。皮膚科医は、問診、視診、そして必要に応じてマイクロスコープを用いた頭皮・毛髪の観察や血液検査などを行い、これらの様々な可能性の中から、あなたの薄毛の根本原因を突き止めようとします。正確な診断が、効果的な治療への第一歩となるのです。診断の結果、ＡＧＡやＦＡＧＡなど、医学的な治療が有効な場合は、保険適用外とはなりますが、フィナステリドやデュタステリド（男性の場合）、ミノキシジルといった有効性が確立された治療薬の処方を受けることができます。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など、他の皮膚疾患が原因であれば、それに対する適切な治療（ステロイド外用薬など）が行われます。また、全身性の病気が疑われる場合には、専門の診療科への紹介もしてくれます。まずは皮膚科で相談し、正しい診断を受けること。それが、遠回りのように見えて、実は薄毛の悩みを解決するための最も確実で安全な道筋なのです。