放置は危険AGA症状進行のリスク

男性型脱毛症(AGA)の初期症状に気づきながらも、「まだ大丈夫だろう」「そのうち治るかもしれない」と放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、AGAは進行性の脱毛症であり、なぜ放置するのが危険なのか、その理由を理解しておくことが重要です。AGAの最大の特徴は「進行性」であることです。遺伝と男性ホルモン(DHT)の影響によってヘアサイクルが乱れ、髪が軟毛化し、抜け落ちていくというプロセスは、基本的に自然に止まることはありません。放置すれば、薄毛は徐々に、あるいは人によっては急速に進行し、M字部分の後退が深くなったり、頭頂部の地肌がさらに目立つようになったりしていきます。最終的には、前頭部から頭頂部にかけて広範囲に薄毛が広がり、側頭部と後頭部の髪だけが残る状態(ハミルトン・ノーウッド分類のⅦ型など)に至る可能性もあります。進行が進めば進むほど、「治療の効果が得られにくくなる」というリスクもあります。AGA治療薬(フィナステリド、ミノキシジルなど)は、毛根の機能がある程度残っている段階で開始する方が、効果を発揮しやすいとされています。薄毛がかなり進行し、毛包が長期間にわたって縮小(ミニチュア化)し、その機能が著しく低下してしまった状態では、薬を使っても十分な改善が得られない、あるいは現状維持が難しくなる可能性があります。つまり、治療を開始するタイミングが遅れるほど、回復の度合いも限定的になってしまうかもしれないのです。「治療期間が長くなり、費用もかさむ」可能性も高まります。早期に治療を開始すれば、比較的少ない労力や費用で進行を抑えられたかもしれないケースでも、進行が進んでから治療を開始すると、より長期間の治療や、複数の治療法の組み合わせが必要となり、結果的に経済的・時間的な負担が大きくなることがあります。さらに、「精神的な負担の増大」も無視できません。薄毛が進行することで、見た目へのコンプレックスが強まり、自信を失ったり、人目が気になって消極的になったりするなど、精神的なストレスが増大する可能性があります。このストレスが、さらに薄毛を助長するという悪循環に陥ることも考えられます。AGAの症状に気づいたら、決して放置せず、できるだけ早い段階で専門医に相談し、適切な対策を始めることが、将来の髪の状態を守り、精神的な負担を軽減するための賢明な選択と言えるでしょう。