AGA治療を始めてしばらく経った頃に抜け毛が増えると、「これは効果の証である初期脱毛なのか、それとも薬が効かずにAGAが進行しているだけの、ただの抜け毛なのか」という深刻な疑問にぶつかることがあります。この二つを見分けることは、治療を安心して続ける上で非常に重要です。いくつかのポイントを押さえることで、ある程度の判断が可能になります。まず、最も重要な判断基準は「抜け毛が始まった時期」です。初期脱毛は、一般的にAGA治療薬の使用を開始してから2週間後から2ヶ月後くらいの間に起こります。もし、治療を始めて半年以上経ってから急に抜け毛が増え始めたのであれば、それは初期脱毛ではなく、他の原因(季節性の脱毛、ストレス、生活習慣の乱れなど)や、薬への耐性ができて効果が薄れてきた可能性などを考える必要があります。次に、「抜けている毛の質」に注目してみましょう。初期脱毛で抜ける毛は、AGAの影響で成長期が短縮されてしまった、細く、短く、弱々しい毛が多いという特徴があります。ヘアサイクルが正常化する過程で、これらの「質の悪い髪」が、新しく生えてくる「質の良い髪」に押し出されるためです。もし、抜けている毛が、太く健康な長い毛ばかりである場合は、初期脱毛以外の原因も疑うべきかもしれません。また、「頭皮の状態」もチェックポイントです。初期脱毛は、基本的には生理的な現象なので、頭皮に異常は伴いません。しかし、もし抜け毛と同時に、強いかゆみ、赤み、フケ、湿疹といった炎症症状が見られる場合は、薬の副作用による接触性皮膚炎や、脂漏性皮膚炎などを発症している可能性があります。この場合は、すぐに医師に相談し、適切な処置を受ける必要があります。とはいえ、これらの見分け方はあくまで目安であり、自己判断は禁物です。一番確実なのは、定期的にクリニックで医師に頭皮の状態を診てもらうことです。マイクロスコープなどで頭皮を観察すれば、専門医は新しい産毛が生えてきているか、毛根の状態はどうかを正確に判断できます。不安を感じたら、一人で悩まず、処方してくれた医師に相談すること。それが、最も確実な答えを得るための最善の方法です。