AGA治療を始めると多くの人が経験すると言われる初期脱毛。しかし、治療を開始して一ヶ月、二ヶ月と経っても、「全く抜け毛が増える気配がない」という人もいます。すると今度は、「初期脱毛が来ないということは、薬が効いていないのではないか?」という、別の種類の不安が頭をもたげてきます。効果の証とされる現象が起きないことで、治療が失敗しているのではないかと心配になるのです。結論から言うと、初期脱毛がはっきりと自覚できる形で起こらない人も、決して珍しくありません。そして、それが必ずしも「薬が効いていない」ことを意味するわけではないのです。初期脱毛の有無や程度には、非常に大きな個人差があります。その差が生まれる理由はいくつか考えられます。まず、AGAの進行度やヘアサイクルの乱れの程度が、人それぞれ異なるためです。AGAがそれほど進行しておらず、休止期に留まっている毛根の数がもともと少ない場合、薬が効き始めても、一斉に抜け落ちる髪の毛の絶対数が少ないため、本人も気づかない程度の、ごく緩やかな脱毛で済むことがあります。また、もともとの髪の毛の量が多い人や、毛が太い人は、多少抜け毛が増えても、全体的なボリュームの変化として感じにくいため、初期脱毛を自覚しないまま乗り越えている可能性もあります。使用している薬の種類や濃度によっても、反応の出方は変わってきます。さらに、人間の感覚は曖昧なもので、実際には普段より少し多く抜けているのに、本人が「これが初期脱毛だ」と認識していないだけのケースも考えられます。重要なのは、初期脱毛の有無だけで、薬の効果を判断しないということです。AGA治療の効果を正しく評価するためには、最低でも半年間は治療を継続する必要があります。初期脱毛がなくても、半年後に治療開始前と写真を比較してみると、産毛が生えていたり、髪の毛一本一本にハリやコシが出ていたりといった、ポジティブな変化が確認できることは多々あります。初期脱毛が来ないからといって、焦って自己判断で薬の量を変えたり、治療をやめたりするのは最も避けるべき行為です。効果の判定は、抜け毛の量という短期的な指標ではなく、半年後、一年後という長期的な視点で行うものだと、心に留めておきましょう。
初期脱毛が起きない人もいる?効果との関係